観葉植物のアリ退治に重曹は危険?正しい作り方と安全な代用案

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観葉植物と重曹の瓶、そして拡大鏡でアリを見ている様子。重曹使用への警告マークが描かれたアイキャッチ画像

こんにちは。Rich and Green Life 運営者の「Ryu」です。大切に育てている観葉植物の鉢周りに、黒くて小さなアリの行列ができているのを見つけると、本当にショックを受けますよね。「室内なのにどこから入ってきたの?」「植物に害はないの?」と不安になる気持ち、痛いほどよくわかります。そんな時、家にある掃除用や料理用の「重曹」を使って手軽に退治できないかと考える方は非常に多いです。ネットで検索すれば「重曹と砂糖で退治できる」という情報はたくさん出てきますからね。実は私も以前、室内で発生したアリをどうにかしようと、見よう見まねで重曹を試したことがあります。しかし、重曹と砂糖を混ぜる割合や作り方を間違えると効果が全く出なかったり、最悪の場合は植物を枯らせてしまったりする重大なリスクがあることをご存知でしょうか。この記事では、私の失敗を含む実体験と、園芸のプロから学んだ知識を交えながら、植物を守りつつアリを撃退するための安全で確実な対策について、どこよりも詳しくお話しします。

  • 重曹がアリを退治できる科学的な理由と、重曹だけでは効かない「誘引」の重要性
  • 植物を枯らさないために絶対に守るべき正しいベイト剤(毒餌)の作り方と設置ルール
  • 重曹を使うことで起きる土壌の化学変化と、それが植物に与える「塩害」のリスク
  • プロも推奨する、重曹よりも圧倒的に安全で確実な「アリメツ」や天然由来の忌避手段
目次

観葉植物のアリ退治に重曹を使う効果とリスク

「重曹でアリがいなくなる」という話は、生活の知恵として広く知られていますが、単に粉を撒けばいいという単純な話ではありません。重曹は使い方を誤ると、アリを駆除できないばかりか、愛着のある植物に取り返しのつかないダメージを与えてしまう諸刃の剣です。ここではまず、敵であるアリの生態を知り、なぜ重曹が効くのかというメカニズム、そしてそこに潜むリスクについて深掘りしていきましょう。

観葉植物にアリが湧く原因と巣の特定方法

駆除を始める前に最も重要なステップは、「なぜそこにアリがいるのか」という原因を特定することです。アリは目的もなく植物に登っているわけではありません。私の経験上、観葉植物にアリが寄ってくる理由は大きく分けて2つあり、どちらのタイプかによって対策のアプローチが変わってきます。

植木鉢の周りを行列で歩くアリと、困り顔の男性のアイコン。室内でのアリ発生の悩みを表現したスライド
Rich and Green Life・イメージ

一つ目は「甘い蜜(エサ)」があるケースです。植物自体が花外蜜腺から蜜を出すこともありますが、室内管理の観葉植物において最も多い原因は、アブラムシやカイガラムシといった他の吸汁害虫が潜んでいることです。これらの害虫は植物の汁を吸い、余分な糖分を「甘露」としてお尻から排泄します。この甘露は高濃度の糖分を含んでおり、アリにとってはご馳走です。もし、植物の葉がベタベタしていたり、黒い煤のような汚れ(すす病)がついていたりする場合、アリは甘露を求めてやってきているだけです。この場合、アリだけを駆除しても、供給源であるアブラムシなどを退治しない限り、すぐに別のアリがやってきます。

植物がベタベタしている原因については、こちらの記事で詳しく解説しているので、心当たりがある方は必ずチェックしてください。根本原因を絶つことが最短の解決策になります。

観葉植物がベタベタする原因と掃除法!カイガラムシ対策も解説

二つ目は「植木鉢が住処(巣)になっている」ケースです。観葉植物の土、特に腐葉土や堆肥を多く含んだふかふかの有機用土は、適度な湿度と隙間があり、温度も一定に保たれているため、アリにとっては屋外よりも快適な「高級マンション」になり得ます。鉢を持ち上げたとき、底穴から大量のアリがワラワラと出てきたり、白い卵のようなものを運んでいる姿が見えたりしたら、残念ながら鉢の中に巣を作られている可能性が極めて高いです。

葉の上の蜜をなめるアリと、鉢の土の中に複雑な巣を作っているアリの図解スライド
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この場合、表面のアリを駆除するだけでなく、巣ごと対策する必要があります。

重曹と砂糖を混ぜる殺虫の仕組みと効果

では、なぜ掃除や料理に使われる安全なはずの重曹が、アリ退治に使えるのでしょうか?これは魔法ではなく、中学校の理科で習うような化学反応が関係しています。

重曹の正式名称は「炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)」です。これをアリが摂取すると、アリの体内にある消化液や防御物質である「酸(ギ酸など)」と化学反応を起こします。この中和反応によって、体内で急激に二酸化炭素ガス(CO2)が発生します。

人間などの哺乳類であれば、発生したガスは「ゲップ」として体外に排出できるため問題ありません。しかし、アリの身体構造にはガスを排出する機能が備わっていないのです。その結果、閉鎖的な体内で発生したガスが行き場を失い、内臓を圧迫して破裂させたり、呼吸器系を圧迫して窒息状態にさせたりします。さらに、重曹はアルカリ性物質であるため、弱酸性に保たれているアリの体内のpHバランスを急激に崩し、代謝異常を引き起こして死に至らしめるとも言われています。

このメカニズムの利点は、薬剤抵抗性(耐性)がつかないことです。神経毒ではなく物理的・化学的な反応を利用するため、どんな種類のアリにも理論上は効果があります。

重曹と砂糖を摂取したアリの体内で二酸化炭素ガスが発生し、物理的に駆除されるメカニズムを説明したスライド
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【豆知識】重曹単体では絶対に食べません
ここで注意が必要なのは、「重曹を撒くだけでは意味がない」ということです。アリは重曹を「エサ」とは認識しませんし、むしろそのアルカリ性の味や粉の感触を嫌って避けて通ります。通り道に重曹の粉を撒いても、アリは迂回するだけで駆除効果はゼロです。だからこそ、アリを騙して重曹を食べさせるための「強力な誘引剤」との組み合わせが必須になるのです。

アリ退治用の重曹と砂糖の割合と作り方

重曹をアリに食べさせるためには、アリが大好きな「糖分」と混ぜて、毒餌(ベイト剤)を作る必要があります。しかし、適当に砂糖と混ぜればよいわけではありません。私が何度も実験し、失敗を繰り返した末にたどり着いた、最も食いつきの良いレシピをご紹介します。

【Ryu流:失敗しない重曹ベイト剤のレシピ】

  • 重曹:1
  • 粉砂糖:1

※基本的に体積比(見た目の量)で1対1でOKです。例:小さじ1杯ずつの配合。

【作り方】

  1. 小さめの容器に重曹と粉砂糖を入れる。
  2. ダマが残らないようにスプーンなどで均一になるまで丁寧にかき混ぜる。
  3. 少量の水を加えてペースト状にしても良いが、まずは粉のままで設置するのがおすすめ。

このレシピで最大の肝となるのが、「グラニュー糖」や「上白糖」ではなく、必ず「粉砂糖(パウダーシュガー)」を使うことです。これはアリの賢さに関係しています。粒の大きなグラニュー糖と重曹を混ぜた場合、アリはその優れた触角と顎を使って、美味しい砂糖の粒だけを器用に選別し、重曹だけを綺麗に残して持ち去ってしまうのです。これではただのアリへの餌やりになってしまいます。

粒子が非常に細かい粉砂糖を使うことで、重曹の粒子と砂糖の粒子が物理的に混ざり合い、アリが選別できなくなります。その結果、甘い匂いにつられて粉砂糖と一緒に重曹も体内に取り込み、巣に持ち帰ってくれるようになるのです。もし家に粉砂糖がない場合は、グラニュー糖をすり鉢などでパウダー状になるまですり潰してから使うことを強くおすすめします。

重曹と粉砂糖を1対1で混ぜ、容器に入れてアリの通り道に設置する手順を示したイラスト。粉砂糖を使う重要性の注意書き付き
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室内で安全に設置するベイト剤の置き場所

苦労して作った特製のベイト剤も、設置場所を間違えると効果を発揮しません。また、後述する塩害のリスクを避けるため、絶対に「植木鉢の土の上に直接撒く」ことだけはやめてください。

最適な設置方法は、ペットボトルのキャップや、アルミホイルを小さく切って作ったお皿、あるいはプラスチック容器の蓋などにベイト剤を乗せ、アリの行列ができている「通り道(フェロモントレイル)」のすぐ近くや、巣の出入り口付近に置くことです。室内であれば、鉢の受け皿のすぐ横や、窓際のサッシ部分などが良いでしょう。

アリは警戒心が強いため、最初は遠巻きにしているかもしれませんが、偵察アリが「これは安全で美味しいエサだ」と判断して巣に戻れば、仲間を引き連れて行列を作って運んでいきます。

【ペットや小さなお子様がいるご家庭へ】
重曹自体は食品添加物としても使われる比較的安全な物質ですが、大量に摂取するとナトリウム過多などで健康を害する恐れがあります。特に犬や猫、ハイハイをする赤ちゃんがいる場合は、誤って舐めてしまわないよう厳重な注意が必要です。

対策として、タッパーなどの密閉容器の側面に、アリだけが通れる小さな穴や切り込みを開け、その中にベイト剤を入れる「アリ専用カフェ」を自作することをおすすめします。これなら誤食を防ぎつつ、アリを誘引することができます。

重曹で植物が枯れる塩害リスクと失敗の理由

土に重曹を撒いたことで枯れてしまった植物に大きな赤いNGマーク。塩害や誤食のリスクを警告するスライド
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ここが、私がこの記事で最も声を大にして伝えたい「リスク」の部分です。「重曹は自然由来だし、特定農薬(特定防除資材)にも指定されているから植物にも安全だろう」と誤解して、土に直接撒いてしまう方が後を絶ちません。

確かに重曹は、農林水産省によって「特定防除資材」に指定されており、農作物への残留リスクが低い資材として認められています(出典:農林水産省『特定防除資材(特定農薬)について』)。しかし、これはあくまで「うどんこ病」などの予防として葉面に薄く散布する場合の話であり、土壌に大量に投入することは想定されていません。

化学的に見ると、重曹は「炭酸水素ナトリウム」というナトリウム塩の一種です。これを土に撒いたり、水に溶かして土壌灌水したりすることは、植物にとって「塩水をかけられている」のとほぼ同じ状態を意味します。

なぜ重曹で植物が枯れるのか?(塩害のメカニズム)

土壌中のナトリウム濃度が高まると、浸透圧の関係で、植物は根から水を吸い上げることが困難になります。土は湿っているのに、植物体内は水不足になるという現象が起き、葉が萎れたり枯れ込んだりします。さらに、ナトリウムイオンは植物にとって有害であり、カリウムなどの必要な栄養素の吸収を阻害したり、細胞を直接傷つけたりします。また、重曹はアルカリ性なので、酸性土壌を好む多くの観葉植物にとって、土壌pHの急激な上昇は生育不良の直接的な原因となります。

葉先が茶色く枯れたり、黒ずんだりしている場合、それは乾燥ではなく、肥料焼けや塩類集積(塩害)のサインかもしれません。以下の記事で診断方法を解説していますので、心配な方は確認してみてください。

観葉植物の葉っぱの先が枯れる!茶色や黒の原因と復活させる診断術

植物の種類重曹への耐性リスク詳細
アジアンタム・シダ類極めて弱い葉が薄いため、わずかな塩分ストレスでチリチリに枯れ込みます。
ラン・エアプランツ弱い根が繊細で、塩類が蓄積すると根腐れや変色を即座に引き起こします。
一般的な観葉植物中程度すぐには枯れませんが、長期的な生育不良や新芽の変形を招きます。

観葉植物のアリ退治で重曹より確実な代替案

ここまで重曹の使い方を解説してきましたが、正直なところ、重曹ベイト剤は「湿気で固まりやすい」「作るのが面倒」「効果にムラがある」「植物へのリスク管理が必要」といったデメリットも多いのが現実です。もしあなたが、「とにかく安全に、かつ確実にアリを消し去りたい」と願うのであれば、私は重曹に固執せず、以下のプロ推奨の方法を選ぶことを強くおすすめします。

市販のホウ酸剤アリメツなら巣ごと全滅

私がこれまでの園芸生活で最終的にたどり着いた、対アリ戦における最強のアイテムは、市販の「アリメツ」という薬剤です。これは昭和の時代から愛されているロングセラー商品で、成分は「糖蜜」と「ホウ酸」のみ。殺虫成分のホウ酸は、重曹と同じく即効性はなく、アリが巣に持ち帰って仲間と分け与えることで、巣全体(コロニー)を崩壊させるメカニズムを持っています。

重曹との決定的な違いは、「圧倒的な食いつきの良さ」です。トロッとした液体状なので、粉末の重曹よりもアリが摂取しやすく、また匂いの誘引力も強力です。付属の専用トレーに入れて鉢の近くに置くだけなので、土を汚したり塩害を起こしたりするリスクもゼロ。数百円で購入できるため、材料を揃えて自作する手間を考えれば、コストパフォーマンスも最強かなと思います。

設置してから数時間は、驚くほどのアリが集まってきますが、それは「効いている証拠」です。数日後には嘘のようにアリの姿が消える感動を、ぜひ味わってほしいですね。

コーヒーかすやシナモンの香りで忌避する

「殺生はなるべく避けたい」「アリが入ってこないように予防線を張りたい」という方には、家にある身近なものを使った「忌避(きひ)」対策が有効です。

特におすすめなのが「シナモンパウダー」です。お菓子作りに使うあのシナモンですが、実は特定防除資材としても認められているほど、虫除け効果が高い素材です。アリはシナモンに含まれる「シンナムアルデヒド」という成分の香りを強烈に嫌い、神経系に作用するため避けて通ろうとします。土の表面にサッと撒いておくだけでバリアになりますし、シナモンには防カビ効果もあるため、土の表面に生える白カビの予防にもなって一石二鳥です。

また、ドリップした後の「コーヒーかす」もアリ除けとして使えます。コーヒーの香りとカフェインをアリが嫌うためです。ただし、コーヒーかすを湿ったまま土に撒くと、すぐにカビが生えたり、コバエ(キノコバエ)の発生源になったりするリスクがあります。使用する場合は、フライパンで煎るか天日干しをして、完全に乾燥させてサラサラの状態にしてから使うようにしてください。

市販薬のアリメツに集まるアリと、シナモンスティックのイラスト。用途に合わせた代替手段を紹介するスライド
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その他の室内の虫対策全般については、以下の記事でも網羅的に解説しています。コバエなども気になる方はぜひ合わせてご覧ください。

観葉植物の室内の虫対策!原因と駆除方法を徹底解説

酢やクエン酸スプレーのアリよけ効果

アリは視力が弱く、仲間が地面に残した「フェロモン」という匂いの道しるべを頼りに行列を作って移動しています。このフェロモントレイルを遮断し、混乱させるのに有効なのが「お酢」です。

水とお酢を1:1の割合で混ぜた「酢スプレー」を作り、鉢の周りや床のアリの通り道に吹きかけて、雑巾で拭き掃除をします。これによって道しるべの匂いが消え、さらにお酢の強い酸の匂いがアリを遠ざけます。レモン汁やクエン酸水でも同様の効果が期待できます。

【注意】植物にはかけないで!
お酢は酸性が強く、除草剤の成分としても使われることがあります。植物の葉や土に直接かかると枯れる原因になるので、あくまで「鉢の周囲」や「床」の掃除に使うようにしてください。

植木鉢を水没させてアリを追い出す方法

もし、土の中に完全に巣を作られてしまい、薬剤を使っても拉致があかない場合の最終手段として、「水没法(バケツ水攻め)」があります。

手順はシンプルです。バケツに常温の水を張り、観葉植物を鉢ごとドボンと沈めます。土の表面まで完全に水に浸かるようにして、そのまま10分〜15分ほど待ちます。すると、土の中の空気がなくなり、苦しくなったアリたちが卵や幼虫を抱えて土の表面に這い出してきたり、水面に浮いてきたりします。これで巣の構造を破壊し、物理的にアリを追い出すことができます。

この方法は薬剤を使わないので安全ですが、植物にとっても根が窒息するストレスのかかる荒療治です。実行した後は、直射日光の当たらない風通しの良い場所でしっかりと土を乾かし、根腐れを起こさないようケアしてあげることが大切です。

元気な観葉植物と笑顔の女性。シナモンでの予防を優先し、重曹は慎重に使うことを促すまとめスライド
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観葉植物のアリ退治と重曹の正しい活用法

最後にまとめとなりますが、重曹を使ったアリ退治は「低コストで、今すぐ家にあるもので試せる」という大きなメリットがあります。しかし、その反面、「土壌への塩害リスク」や「設置の手間」、「効果の確実性」という点では専用の殺虫剤に劣る部分があるのも事実です。

私の経験から導き出した最適解としては、まずは「シナモン」などで寄せ付けない予防をし、それでも巣ができてしまったら自作にこだわらず「アリメツ」を使うのが、植物の健康を守る上で一番安全で確実かなと思います。どうしても重曹を使う場合は、くれぐれも土に撒かないよう、容器に入れて設置することを徹底してくださいね。

植物との暮らしは、時として虫との戦いでもあります。でも、正しい知識と対処法を知っていれば、過度に恐れる必要はありません。大切なグリーンを長く元気に育てるために、ぜひご自身の環境に合った方法を試してみてください。

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